天に栄光、地に平和

ルカによる福音書2章1〜14節

 ルカによる福音書が伝える、イエス・キリストの誕生のメッセージについて、2019年度のクリスマス・イブ礼拝の説教からお届けいたします。
 第一に、イエス・キリストの誕生のできごとは、“神が人となって世に降って来られた”出来事です。「神は、その独り子をお与えになったほどに、世を愛された。独り子を信じる者が一人も滅びないで、永遠の命を得るためである。」(ヨハネによる福音書3章16節)と示されていますように、神は、すべての人を救い、永遠の命を与えるために、その独り子を惜しまず世に遣わされました。

 主の天使がおとめマリアに現れ「おめでとう、恵まれた方、主があなたと共におられる。」(ルカ福音書1章28節)、さらに続けて「マリア、恐れることはない。あなたは神から恵みをいただいた。あなたは身ごもって男の子を産むが、その子をイエスと名付けなさい。」(同1章30〜31節)とのお告げに戸惑いながらも、「わたしは主のはしためです。お言葉どおり、この身になりますように。」(同1章38節)とこれを受け入れ、やがて月が満ちて御子イエスさまの誕生となりました。

 第二は、イエスさまの誕生は、当時のローマが中心に支配する世界史の只中にて起こりました。ローマ皇帝アウグストウス、シリア総督キリニウスのときで、その頃に布告された住民登登録令のことも、歴史的な背景として伝えられております。

 第三、イエスさまの誕生は、旧約聖書の時代の預言者イザヤによってすでに「救い主なるメシアが王として到来する」、しかも、「ダビデの末裔から誕生される」と、預言されていたことが実際に起こった出来事です。しかし実際に来られた「王」は、この世的な王ではなく、“苦難の僕”として、世に来られたそのときから、苦難の道を歩まれ、最後は十字架の死と復活によって、これを信じる世の人々の救いを完成されました。

 第四、この「イエスさまの人としてのご誕生、そして歴史的な誕生」は、いち早く、ベツレヘムの郊外で夜通し羊の群れの番をしていた羊飼いに知らされました。主の天使は栄光の中、羊飼いに近づいて「今日ダビデの町に、あなたがたのために救い主がお生まれになった。この方こそ主メシアである」との知らせでした。羊飼いはみ告げの通り、行ってこれを確かめ、大きな喜びと感謝に満たされて、このことを人々に知らせながら帰路につき、明日からの生活へと遣わされていきました。

 以上のイエスさまの誕生の出来事は、今日のわたしたちへの知らせでもあります。
感謝し、また喜びのうちに、さらに新しい生活へとわたしたちも遣わされて参りましょう。

(牧師 永田邦夫)