使徒言行録14章21~28節 牧師 常廣 澄子 始めに少し前回のところを振り返ってお話ししたいと思います。前回の最後で語りましたように、パウロとバルナバのリストラでの伝道は、思いがけないことが起きて突然終わってしまいました。執念深いユダヤ人たちがパウロとバルナバを追いかけて、160キロメートルも離れているアンティオキアからこのリストラまでやって来たからです。彼らはこの町の群衆を扇動して巻き込み、猛烈な迫害をしました。つい先ほどまで二人を生ける神々として敬い、その前にひれ伏して、バナバをゼウス、パウロをヘルメスと呼んで熱狂的に支持していた人たちがいる、まさにこのリストラの地で事態が急転したのです。人間の心というものは、人の唆しの言葉でこのように簡単に変わるものでしょうか。彼らは彼らを唆したユダヤ人たちと一緒になって、殺意を持ってパウロに石を投げつけました。この場面には、あの「慰めの子」とも言われていたバルナバの姿はありません。キリストの敵対者から回心して、主の福音を語る者となったパウロ一人を目指して激しく石が投げつけられたのです。そして遂に倒れたのを見ると、死んでしまったと思って町の外に引きずりだしたのです(14章19節参照)。死んでしまった人間は卑しく汚れたものとして扱われますから、町の外に運び出さなくてはならなかったのです。