お読みいただいたところには、イエスが語られた譬え話が書かれています。その始まりは(1節)「そこで、天の国は次のようにたとえられる。」という言葉です。「天の国」というのは、日本語では死んでから行く天国のようなところを連想しますが、ここではそういう意味はありません。マタイによる福音書は、しばしば「神」の代わりに「天」という言葉を使っているのです。それはどうしてかと言いますと、マタイによる福音書はどちらかというとユダヤ人が読むことを想定して書かれているからです。ユダヤ人は神を畏れ、「神」という言葉を直接口にすることをはばかり、また直接書くことも避けていましたので、「神」の代わりに「天」という言葉を使っているのです。